CADTOOL板金展開に関するその他の付帯情報です
CADTOOL板金展開における展開図の計算方法や対応している展開パターンの一覧、過去のマニュアルダウンロードなど、機能以外の付帯情報です。ご購入前もご購入後も さまざまな場面でお使いいただけます。「カテゴリ」を選択するとそのカテゴリに属する技術情報が表示されます。
なお、CADTOOL板金展開の製品概要についてはこちらのリンクからご覧いただけます。ぜひご一読いただければと思います。
- "CADTOOL板金展開"とは? - ⇒ いますぐ概要を知る
展開図作成機能に関する技術情報です。
CADTOOL板金展開で用意されている展開コマンド一覧もこちらになります。
板金展開9 板金展開コマンドで行える形状は下記の通りです。
(TYPEとは、同じ形状で入力方法が異なるコマンドのことです)
10種類の板金展開図の作図コマンドは、板厚を考慮した展開図に対応しています。
板金展開9 厚肉対応 板金展開コマンドで行える形状は下記の通りです。
板金展開に関する図書類は多数出版されていますが、CADTOOL板金展開では下記の文献を参考に開発をスタートしております。
・実物写真入り板金板取り展開図集 大西久治 著 理工学社 1991年 全訂31版
・板金製缶展開板取りの実際 繁山俊雄 著 理工学社 2009年 第1版42刷
前者の初版は1952.12.31で実に60年以上前の本になり、現在、全訂版42刷(通算90刷)で販売されている息の長い本であります。後者の初版は1973.9.20でこちらも40年近くの歴史がある本になり、特に“板厚を考慮した展開板取り”に関して他書ではあまり見ない詳しい説明があり大変参考になったものです。
このような歴史のある本が現代でも現役で活用されているというところに板金展開の奥深いところがあるように思います。これらの本の基本は製品の三面図等から各種の幾何学的な技法を駆使して展開図を作成するものになっていますが、これらの本が今でも売れているということは現代でもこの方法で金属板にケガキ線をかいて板取りをしている現場もあることと思います。
ただし展開図を作るというのは基本的には幾何学の計算となりプログラム化しやすい部類のものでもあります。実際にネットで検索すればいくつか板金展開ソフトがヒットしますしエクセル等のマクロを使って作成している人もいると思います。できた展開図は基本的にはどれも同じものにならなければなりませんのでソフトウェア商品としてはなかなか差別化のしにくい分野になっていると思います。
CADTOOL板金展開では単純な幾何計算による展開図ではなく一旦、製品の3次元座標を求めておき、それを元に展開図を作成するという3次元座標展開方式という方法を多くのコマンドで共通して使うようになってきています。
詳しくは説明できませんがこの方式では展開図より先に3次元で製品の座標を求めているので、それを元に三面図を表示したり、立体的なイメージで確認できるアイソメ図の表示が容易にでき、さらにアイソメ図はぐるっと回転させていろいろな方向から形状を確認することができるようになっています。そして三面図やアイソメ図で確認した同じ3次元座標から展開図を作るので入力ミスの低減につながっていると考えています。またこれらの三面図やアイソメ図もCADに作図したりDXFファイルに出力することができますので展開図と一緒に作図しておけば製作現場にも分かりやすい図面を作成することができます。
標準の板金展開図コマンドでは板厚は考慮されていません。入力されたデータにしたがって形状の3次元座標を計算し、展開図にする面を幾何学的に展開していきます。
したがって板厚がある場合は通常、板厚中心の寸法データを入力しますが、形状や曲げ角度、加工方法等により材料が伸びたりしますので、展開形状を組み立てた場合にずれが生じることがあります。そのため、入力データを補正する必要が出てくる場合がありますが、標準の板金展開図コマンドではそうした補正機能はありません。したがって必要に応じてユーザー側で補正したデータを入力するということになります。
ユーザーが入力データを補正しなければならないというのは板金展開ソフトとして機能が落ちるようにも感じるかも知れませんが、どの程度補正するかというのが逆にユーザーのノウハウとなります。
厚肉対応板金展開図コマンドでは、板厚を考慮した展開図を作成することができ、後で説明する曲げ係数によって板の伸びを考慮することができますが、曲げ係数をいくつにすればよいかというのも、やはりユーザーのノウハウになってきます。誰もが手に入れられる技術計算ソフトを使う上ではこのノウハウこそが武器になりますので、そういう観点でCADTOOLシリーズを活用していただけるとありがたいです。
なおVer9では一部のコマンドで簡易板厚補正の機能を追加しています。鋼管サイズを多用する現場では外径や板厚を記憶している方も多く、入力時に外径から板厚を引いて板厚中心の寸法を入れるのも面倒です。簡易板厚補正のあるコマンドではあらかじめ補正板厚と曲げ係数を設定しておけば直径寸法は外径寸法で入力できるようになります。